プラズマクラスターで新型コロナウイルスが不活化?

空気清浄カード

2020年9月シャープがある発表を行いました。

同社の空気清浄機などに用いている「プラズマクラスター技術」で、空気中に浮遊する「新型コロナウイルス」が90%以上減少することを実証したのです。

イオンの力で、浮遊するウイルスへの効果が実証されたのは世界初のようで、注目が集まったこのニュース。しかし、同社の公式Twitterでも「希望は感じていただきたいけど、過度の期待は禁物だ」と注意喚起をしています。

本記事ではプラズマクラスターの技術や実験の詳細内容について解説していきます。

プラズマクラスターとは

空気中には、窒素、酸素、水素、炭酸ガスなど様々な物質が漂っていて、それぞれマイナスイオン(水素)とプラスイオン(酸素)という状態で漂っています。
マイナスイオンは、生物に心地よさや快適さを感じさせる効果があるため、様々な商品で活用されているので聞いたことがある人も多いはず。

プラズマクラスターは、このイオンの仕組みを利用した商品です。

プラスイオンとマイナスイオンを空気中に放出させ、浮遊する細菌・カビ・ウイルス・アレルゲンなどに瞬間的にプラスイオンとマイナスイオンを結合させます。
すると、酸化力の非常に高いOH(水酸基)ラジカルへと変化するため、化学反応により細菌などの表面の主成分であるたんぱく質を分解し、働きを抑制するシャープ独自の技術です。

細菌・カビなどの働きを無効化した後、OHラジカルは、水に変化し空気中に戻っていきます。

「プラズマクラスター」による浮遊カビ菌や浮遊菌の作用抑制メカニズム

安全性も確認済み

プラズマクラスターの安全性については、GLP※(優良試験所基準)に適合した試験設備で実証済み。
試験は、実環境での使用時と比べて、桁違いの高濃度イオン下で行い、その環境下であっても皮膚、眼、遺伝子、身体・器官、母体・胎児、および2世代の繁殖に対して影響がないことを確認できています。
イオンを使用した商品は数多くありますが、安全性を示す試験データにイオン濃度の表記をしているのはシャープだけです。

※GLP(優良試験所基準)とは、化学物質等の安全性評価試験の信頼性を確保するため、試験施設及び試験操作の手順書などについて定められた基準。

また、実証実験は、各専門分野のスペシャリストによる第三者機関で実施。そして、国内だけでなく、海外の試験機関においても効果の実証を行っています。

今回の実験内容は

長崎大学感染症共同研究拠点 安田二朗教授(兼 熱帯医学研究所教授)、同研究拠点 南保明日香教授(日本ウイルス学会理事)、および島根大学医学部 吉山裕規教授(日本ウイルス学会理事)とシャープが共同でプラズマクラスター技術搭載ウイルス試験装置を制作。

感染症研究の世界的権威である長崎大学の協力の下、空気中に浮遊する「新型コロナウイルス」にプラズマクラスターイオンを約30秒照射することで、感染性を持つウイルスの粒子の数が90%以上減少することを世界で初めて実証しました。

長崎大学感染症共同研究拠点 教授 安田 二朗(やすだ じろう)氏のコメント

付着したウイルスへの対策としては、アルコールや洗剤(界面活性剤)等の消毒薬が有効ですが、エアロゾル(マイクロ飛沫)を介した感染を想定した対策としてはマスク等の着用以外に有効策がありません。今回、プラズマクラスター技術が空気中に浮遊した状態の新型コロナウイルスを不活化することが実証されたことは、一般家庭だけでなく医療機関などの実空間で抗ウイルス効果を発揮する可能性があると期待されます。

引用:シャープ株式会社(https://corporate.jp.sharp/news/200907-a.html)

プラズマクラスターがコロナに有効?実験で90%減(2020年9月7日)

なぜ過度の期待は禁物なのか


公式Twitterでも、上記のように注意喚起を促しています。

あくまで今回は実験用の設備で実証された結果。
この環境というのが、飛沫を模したウイルスを含む液体に高濃度のプラズマクラスターを30秒照射して、結果を見るというもの。あくまで小さな環境下、そして、家庭用とは大きく異なるイオン濃度での実証となりました。

この通り、自宅での使用環境と大きくかけ離れているため、過度の期待は禁物なのです。

今後は規模を拡大した実験も視野に入れているようなので、注目したいところですね。

まとめ

感染拡大を続ける新型コロナウイルスに対して、明るいニュースでしたが、まだまだ油断は禁物なようです。
三密を避けるなど一人ひとりができる基本的な感染予防対策は、引き続き行い、自分はもちろん周りにもうつさないよう努めましょう。

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